そもそも、「使いやすさ」とは何なのでしょうか?
人間は、ロボットのプログラミングや操作に関わらず「自分が使い慣れたツール」で作業することが一番簡単に感じます。たとえば、上図のように、今までロボットを活用されたことがない方には、直感的で、わかりやすい操作ができるツールがあると簡単かもしれません。それに対し、従来のやり方のままが使いやすい方もいらっしゃれば、独自で開発したソフトウェアで自由にアプリケーションを作り上げたいエンジニアもいらっしゃるでしょう。このように、ロボットの活用シーン、アプリケーションの複雑さ、携わる人々の目的等によって、「使いやすさ」は形を変えていくと、私たちは考えています。
そのため、すべてのロボット関係者に「使いやすさ」を提供するためには、幅広いアプリケーションに対応できるロボットのラインナップとオープンな開発環境、それらをサポートするソフトウェアやオプション製品、サポートサービスを充実させていくことが必要だと考えています。
ロボット活用における「使いやすさ」を提供するために欠かせないのは、どんなアプリケーションや開発環境にも対応できる「オープン化」です。
デンソーロボットのオープン化は1991年にロボットの外販開始直後に遡ります。1997年発売の「RC5」はJISの産業用ロボットプログラミング言語であるSLIM言語に準拠し、応用的な関数・コマンドを追加したPAC言語を搭載。その後ヨーロッパを中心に、「ロボットをPCから制御できるようにしたい」「使い慣れた言語で開発したい」というニーズが増えたため、それに対応できるロボットコントローラ「RC7」を2005年に発売しました。FA機器とアプリケーション間で統一的なアクセスを可能にする通信インタフェース「ORiN」の活用を開始しました。2012年の「RC8」には、PAC言語をVisual Basicの文法に準拠させ、設備記述言語として進化させたPacScript言語を搭載。Visual Basic Applicationにも対応することが可能となったのです。
その人にとって使いやすい言語で、あらゆる開発が行える。従来の開発環境を維持しつつ、現代のアプリケーションの複雑化に対応するためにオープン性の高さは必要不可欠だと考えています。
私たちが考える「簡単さ」を、今まで提供し続けてきた「オープン化」を継承して提供していく。そのために、私たちは新製品を開発しました。まずは、ロボットを活用した設備全体をシンプルに統合するために開発した新型ロボットコントローラ「RC9」です。RC9はアプリケーションに応じて最適化できる拡張性を持ち、オープンな開発環境を提供することで、お客様やシステムインテグレーターの技術も融合できます。
さらに幅広い工程でデンソーロボットをご活用いただくために、高可搬・ロングリーチの垂直多関節ロボット「VMBシリーズ」「VLAシリーズ」を展開。また、ロボットに携わるシーンや作業者に適した開発環境を提供し、ロボットプログラミングの簡単化を目指すアプリケーション群の「WINCAPS Plus」を開発しました。さらには、ロボットの導入からメンテナンスまで、シーンにあわせたサポートサービスを提供するクラウド活用型プラットフォーム「DENSO Robotics® Cloud」の提供も開始しています。
これらの製品で、設計・立上げ・稼働・保守など、それぞれのシーンと携わる人々にとっての「使いやすさ」を提供します。
次は、設備全体の統合制御し、使いやすいロボット設備の要となる「RC9」のパワフルな開発環境のヒミツをお伝えします。