株式会社デンソーウェーブ(本社:愛知県知多郡阿久比町、取締役社長:相良隆義)は、1994年9月26日にQRコードを対外公表してから30年を迎えることをお知らせします。
1970年代以降、株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市昭和町、代表取締役社長:林新之助、当時は日本電装株式会社)は、製造業の工程改善に向け、情報のバーコード化とその読み取り機を含むシステムを開発、さらには、流通のPOS(販売時点情報管理)システム開発の一翼を担い、独自開発のセンサーを用いたバーコード読み取り機を開発しコンビニエンスストア大手で採用に至るなど、バーコードや各種カードの読み取り機を中心とする自動認識事業を積極的に展開していました。
そうした中、1990年代に入ると、バーコードに格納できる情報量の限界が顕在化し、ネットワーク技術の向上による情報化社会進展と相まって、より多くの情報格納・より小さなスペースでの表示等のニーズが高まり、縦横2方向に情報を格納することで多くの情報を格納できる二次元コードの開発がアメリカなどで進みつつありました。
デンソーは、そうしたグローバルなトレンドと日本の輸送機器製造業や流通業界の状況から、使用される現場での読み取りやすさとさまざまな用途で使用できることを第一に考え、先行していた二次元コードの特長も踏まえて、「大容量データ格納・省スペース・高速読み取り・誤り訂正(一部汚れや欠けがあっても読み取り可能)を網羅」する新たな二次元コード開発を決定し、1992年に開発に着手しました。
そして、株式会社豊田中央研究所(本社:愛知県長久手市、代表取締役CEO:古賀伸彦)への誤り訂正機能を中心とする開発委託などを経て1994年に新たな二次元コードを具体化、同年3月14日に特許を出願しました。そして、将来の普及を意図して、特徴の一つである高速読み取りに基づきQRコード(QRは、Quick Responseの意)と命名、同年9月26日にその特徴と合わせて対外発表しました。
次いで、さまざまな規格・認証を取得、コードに関する基本特許無償化と合わせて国内外での幅広い活用への基盤形成に努めるとともに、長年の各種読み取り機の知見・経験を活かし、QRコードの特徴を最大限引き出すことができる読み取り機の開発を推進し、1996年に、世界初となるQRコード読み取り機を発表、QRコードの開発・普及と読み取り機の開発・提供の両輪で活用を牽引してきました。
その後、QRコードを含む自動認識事業は、デンソーから、2001年10月に設立されたデンソーウェーブに移管され、さまざまな事業展開を担い今日に至っています。
直近では、東京都交通局と共同で地下鉄駅ホームの安全性向上に資するtQRを用いたホームドア開閉システムを開発したり、長方形型のコードであるrMQRコードも開発するなど、用途に合わせて必要な機能を盛り込んだQRコードを開発、QRコード・読み取り機両方での知見・経験を有するからこその用途拡大を進めています。加えて、動物感染症対応の動員管理や児童の登校管理、街の活性化などのさまざまな場面で、QRコードを活用したさまざまなソリューションを提供し、QRコードの使い方提案による社会・産業の課題解決にも注力しています。
デンソーウェーブは、30年前にQRコードが開発・命名されて以降、デンソーグループとして一貫して大切にしてきた、社会・産業課題の解決への想いと行動を未来につなげるべく、これからも、さまざまな方々と協業し、QRコードをはじめとする自動認識事業で、産業の効率化、社会の利便性向上に努めていきます。
*QRコード、tQR、rMQRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
<参考資料>
<QRコード読み取り機>
・商品名は「QS10H」、1996年に発売しました。
<QRコード読本>
・QRコードの普及を意図して2007年に制作・配布した冊子(抜粋)です。