実家が農家で、重労働の助けになるモノをつくりたくて、大学院では農業用ロボットを研究しました。就職の際、ロボットや産業機器のメーカーに目を向ける中で惹かれたのが、小型ロボットでトップクラスのデンソーウェーブ。ただ、ロボットそのものより、それを使って何かをすることに関心があり、入社後は広範囲の「自動化」を実現する制御機器の開発を希望しました。
現在は、工場の機械を制御する産業用コントローラの開発部署で、ソフトウェア設計を担当しています。従来はスイッチのオン・オフやモノの検知などの単純な機能で十分でしたが、最近では機械同士が連携して行う高度な自動化に伴い、ソフトウェアへの要求も高度化する一方です。たとえば、ミリ秒単位での入出力制御や、ナノ秒単位での入力時間の記録。その実現にはソフトウェアの処理時間短縮が課題で、ロジックを見直したり、言語をcやc++からアセンブラに変えるなど、方法を模索しています。仮説を立ててはソフトを試作し、動作が期待通りでなければ自分で、またはチームで解析して解決を図る。そんなこの仕事のプロセスには、大学院時代の研究に通じる魅力があります。また、お客様が海外メーカーなので、文化の異なる米国やシンガポールの方々と電話会議やメールで打ち合わせ、一緒につくり上げる面白さもあります。
私が将来挑みたいのは、「いろいろなモノを自動化する」こと。中でもやはり農業の自動化です。制御技術がさらに進化すれば、現在は集団単位でしか行えないセンシングやコントロールを、個々の農作物に対して行えるようになり、人の負担を軽くできるはず。そんな未来に、今の仕事は確実につながると思っています。