制御機器にできること
センサから収集した情報に基づいて、モノを自動的に操る制御。デンソーウェーブでは、主に「工場自動化」「セキュリティ」「全館空調」の用途に向けた制御機器を、海外制御機器企業や国内セキュリティ企業へのOEMとして開発・製造しています。工場用のプログラマブルコントローラは、「AとB、2つの条件がそろった場合にドリルで穴を開ける」といった生産設備のシーケンス制御を行うもので、最近はミリ秒やナノ秒単位で応答する高度な制御を実現しています。セキュリティコントローラは、ドアの施開錠や不審者侵入の検知・通報を行います。全館空調用コントローラは、米国の一般家庭で温度・湿度を自動制御するために使用される製品です。
セキュリティシステムの進化形が、(株)デンソーと共同開発した見守りシステム(レーザエリアセンサー)。駐車場に人が来たときにカメラと連動し、不審者を追尾しながらズーム撮影し、音や光で警告して侵入を防ぎます。自動車の衝突防止用に開発された、きわめて高い信頼性が要求されるレーザーレーダの応用により、霧や雨の中でも30m先の人を検知することが可能です。また、従来のセキュリティシステムではカメラとセンサが複数必要でしたが、見守りシステムでは各1台で広範囲をカバーできます。このシステムには、当社が制御機器開発で培ったデータの高速処理技術のほか、バーコードリーダの光学設計技術も活かされています。
業界をリードする理由
当社製の制御用コントローラはすべてお客様ブランドで発売されるOEM製品ですが、他の製品と同様、(株)デンソーのモノづくりのためにスタートしました。最初に手がけたのは、工場自動化(FA=ファクトリーオートメーション)用の製品です。1984年から社外への販売を開始し、優れた電子回路設計と小型化技術により、米国メーカーがアジアでOEM生産を行う際のパートナーに選ばれました。さらにそのOEM先に工場空調用制御機器を納入したことがきっかけで、アメリカの一般家庭向け空調コントローラに進出しました。一方、セキュリティコントローラに関しては、1978年から国内大手セキュリティ会社にドアロック用磁気カードリーダを納入していたことから、1995年にはICカードによるセキュリティシステムの納入が始まりました。
当社の制御機器の強みは、人やモノの有無・位置を検知するセンシングの高い精度と、その結果をもとに、広範囲にわたってマイクロ秒レベルでのリアルタイム制御を行える高速応答性にあります。こうした技術により、たとえばセキュリティコントローラでは、「検知したものが本当に人であるかどうかを瞬時にフィルタリングして何段階もの判断を行い、警備員の駆け付けが必要かどうかを判定する」といった一連の処理を、短時間で行うことが可能となります。また、長期間の機器使用に耐えうる高い信頼性にも定評があります。
制御機器の未来
今後のIoT社会を考えたとき、私たちが制御機器によって実現すべき大きなテーマとして掲げるのは、「人を見守る」ことです。例えば、屋外も含めた広いエリアで人を認識し、通行人か不審者か等を判別するために、ミリ波や超音波、画像処理、ビッグデータの収集・処理といった要素技術を取り入れながら、より広範囲でのリアルタイム制御に挑んでいく考えです。これからの社会はどうなっていくのか。それを見きわめながら、新しい社会に適する制御技術を発信していきます。